当ブログでは、大手メーカー勤務の筆者の経験をもとに、レビューしている商品のコストパフォーマンスを5段階評価しています。
筆者としてはコスパが悪いのにあえておすすめしている★2や★1から読んでいただきたい。

キーボード

自作キーボードLet’s Splitレビュー|最高にシンプルてミニマル

自作キーボード2台目として、左右分割自作キーボードの代名詞「Let’s Split」を作ってみた。

  • 個人的最小構成の48キー
  • やや厚みのある筐体
  • 無刻印でどこまでもシンプルに
  • 変荷重にしてみた

簡単なビルドログから、僕のキーマップ、実際に使ってみての感想をお届けしていく。

Let’s Splitビルドログ

遊舎工房
今回もお邪魔したのは秋葉原の遊舎工房

キーボードキットとキーキャップは事前に準備していたので、遊舎工房ではキースイッチを購入した。購入したキースイッチは以下の通り。

  • Gateron黒軸 × 26 :メインは黒軸で
  • Gateron赤軸 × 16 :小指は黒軸と同じリニアだけれどより軽い赤軸
  • Gateron緑軸 × 4   :親指はクリッキーで重い緑軸
  • Gateron青軸 × 2  :FとJのホームポジションにはクリッキーな青軸

以前Ergo42 towelを作った時はタクタイルな茶軸で作ったので、今回はリニアな軸をメインに選んでみた。先にお見せすると、下記のような感じのスイッチの配置になる。

「基本リニアで小指は軽く、親指とホームポジションはクリッキー」というコンセプトだ

センスを問われると閉口してしまうが、小指の荷重が軽いのは理にかなっているし、親指が「カチッ」っとなるのも楽しい。個人的には気に入っている。

茶軸メインで組んだErgo42と合わせれば、様々なキーが試せるので楽しい。参考までにErgo42の右手側のキースイッチを載せておく▼

Ergo42はKaih BOX茶軸を使用。小指はGateronクリア軸で親指は黒軸だ

自作キーボードの組み立てに必要なものはErgo42 towelのビルドログにまとめているので参照してほしい。

ダイオードのハンダ付け

まずはダイオードのハンダ付けから行う。

こんなふうに事前にダイオードの足を折り曲げておくと楽だ。

ダイオードは向きがあるので注意したい。

向きに注意してまずは穴に通していく
裏から見るとこんな感じ。

Let’s Splitの場合はどちらの面にハンダ付けしてもOK。僕は上側にダイオード(つまり下側にハンダ付け)とした。

ダイオードのハンダ付け完成

ハンダ付けが終了したら、余分な足は切っておく。できるだけ短く切っておいたほうが、後半の工程で干渉する心配が少ない。

TRRSジャックのハンダ付け

上の写真の通りにTRRSジャックをハンダ付けした
TRRSジャックの下を上の写真のようにショートさせておく必要がある

Pro Microのピンヘッダのハンダ付け

Pro Microをハンダ付けしていく。ピンヘッダ(トゲトゲの足)とPro Micro本体それぞれを基板にハンダ付けする。

まずはピンヘッダをハンダ付けしたところ。垂直に立てる必要がある。

このピンヘッダが垂直に実装できないとPro Microをつけるときに苦労する。場合によってはできないことも。遊舎工房の店員さんに教えてもらったのだが、Pro Microを乗せた状態でハンダ付けすれば、ピンヘッダが斜めになってしまう心配がない。眼から鱗だった。

可能ならば僕のようなピンヘッダではなく、遊舎工房で購入できるコンスルー(スプリングピンヘッダ)を使用することを強くお勧めする。そうすれば後からPro Microの取り外しも可能になる。万が一この後の工程で失敗しても簡単に外してやり直すことができるのだ。

このままPro Microもハンダ付けしたくなるところだけれど、Pro Microの下にキースイッチのハンダ付けをするところがある。したがってPro Microよりも先にキースイッチをハンダ付けする必要がある

キースイッチのハンダ付け

ケースとキースイッチを組み立てて
全てのスイッチに対し、2ヵ所ハンダ付けを行う
ハンダ付けをした結果がこんな感じ。実はこの写真の段階ではハンダが足りなくて、導通が取れていないところがある。あとでやり直しをする羽目になる・・・

Pro Microのハンダ付け

先ほど取り付けたピンヘッダにPro Microをはんだ付けしていく。結構細かいので初心者は注意が必要だ。

右手側はこの面に
左手側はこの面に

Pro Microを取り付けてしまうとPro Microで隠れてしまうキースイッチはハンダの修正ができなくなる。よく確認して、可能なら隠れてしまう4キーだけでも導通を確認しておけば安心だ。

そしてPro Microの足もダイオードと同様に短く切っておかないと、この後取り付けるケースと干渉してしまう。

リセットスイッチのハンダ付け

最後のハンダ付けだ。ファームの書き込みの際に、Pro Microを1ヵ所ショートさせる必要がある。そのためのスイッチをPro Microに直接ハンダ付けする。

僕はこんな感じにハンダ付けした

Let’s Splitはリセットスイッチを設置する場所を設けておらず、各人の判断で対処することになる。僕は上の写真のようにして、ケースの隙間からリセットスイッチを押せるが、ブラブラしないようにした。

ケースの組み立てとキーキャップの取り付け

詳しくは割愛するが、あとはサクッと組み立てておしまい。できたキーボードは以下。

使えるようにするにはファームウェアを書き込む必要がある。これは基本的にどの自作キーボードでも同じなので、Ergo42 towelのときの記事を参考にして欲しい。

プログラミングの知識ゼロの初心者が自作キーボードErgo42 towelにMacでキーマップを書き込んだ

Let’s Split使用1ヶ月レビュー

Let’s Splitを作ってから1ヶ月以上経過したので、使い勝手を簡単にレビューしていく。自作キーボードはパーツ選定によって大きく使用感が変わるので、あくまで僕の場合Let’s Splitのレビューとなることを承知いただきたい。

どこまでもシンプル。視覚的ノイズのないキーボード

オートバイではセカンドシートをなくした方がクールだし、ピストバイクもブレーキがない方がクール(安全上問題はあるけれど)。あらゆる趣味の分野で使用しない機能は搭載していない方が美しいとされている。

そして僕はキーボードにおいても、それは当てはまると感じている。

格子配列で無刻印
  • 不要なキーは一切なし
  • 見ないキーの印字も一切なし
  • レガシーな配列から逸した格子配列

上下がわかりやすいように白とグレーの2色を使ってはいるものの、極力シンプルに仕上がったと感じており、お気に入りだ。

Let’s Split自体が上から見たときキーしか見えないようなシンプル設計なのも功を奏して、非常にミニマルに仕上がっている。

やっぱり左右分割は最高!

一度左右分割型のキーボードを使うと、もう普通のキーボードには戻れなくなる。最高に快適だ。最高に快適な理由は以下

  • Bは左、Yは右など必然的に矯正できる
  • 肩が開くので姿勢が良くなる
  • 中央に物を置けるので作業が捗る
中央にMagic Trackpadを置くこともできるし
なんならiPadも置けちゃう、最高じゃない?

これで姿勢も良くなって肩こり解消して打ちやすいんだから左右分割にしない理由はないというのが持論。

やや厚さはある

キースイッチは一般的なCherry MX互換なので当然高さは普通だが、ここで厚みは基板から下のスペースの大きさという意味で使う。

基板とPro Microが重なっている分、厚みをもっている

Pro Microを基板の外側に逃す設計のキーボードなら薄くなる(下の写真参照)のだが、Let’s Splitはお互いに重なり合うので、どうしても厚くなってしまう。

Ergo42 towelは基板の上部にPro Microを逃す設計になっており、その分薄くできる

こんな感じのマウス用のリストレストを2つ使うのが良さそう。

ハの字の傾斜を自作

僕のLet’s Splitははの字の傾斜がつくように工夫している。

自然な手の形に沿った傾きで、手首をひねることなく入力できる
耐震マットみたいなものを切って重ねて貼り付けて傾斜をつけた

下にリンクを貼った防振粘着マットを3等分に切断し、重ねて貼り付け傾斜をつけた。そのままだと机に粘着してしまうため、さらにその上からゴム足を貼り付けている。

自作キーボードに限らず、キーボードに傾斜をつけたい場合はおすすめ。

48キーは僕のできうる最小キー数

先述の通り、キーの数は少なければ少ないほどストイックでクール。現状僕の実力で快適に使える最小のキーの数は48だと思う。

  • アルファベットキーは全て必要
  • 装飾キーは左右に同じように配置したい
  • レイヤーキーも左右同じように配置したい
  • 長押しで装飾キーはまだ使いこなせない

そんな感じでいくと48キーはなかなかどうしてちょうどいい。Macでの使用を想定したキーマップは以下のように決めた。

基本的にはErgo42 towelのマッピングを踏襲している

会社のWinで使用しているErgo42 towelとある程度互換性を保つために、ややおかしい点もあることは認める。LeftCtrlが2つあるとか。でもこれで使いやすいのだから、僕にとっては現状これがベストなのだ。

実際に使っていきながら徐々に最適化していきたい。

無刻印にはまだ慣れない

見ての通り僕のLet’s Splitのキーには文字が印字されていない。基本的にタッチタイピングはできている(と思う)。だから長い文章を打つ際には印字がなくても全く困らない。

しかしマウスでの作業をしながら、チョイっとショートカットキーを使うときミスしてしまうことがまだある。少し困る笑

でもこのミニマルな外観は何ものにも変えがたいし、無刻印のキーボードを使うことが最強のタッチタイプのトレーニングになると考えれば、無刻印にしたことに後悔は全くない。むしろ印字があったらここまで気に入っていなかったとすら思う。

まあ、自作キーボードな訳だから飽きたら印字のあるキーキャップに換装することも容易なわけだし。

黒軸の押下圧にも慣れない

まずは今回使用しているキースイッチの押下圧を載せておく。

  • メイン:黒軸 – リニア 70g
  • 小指:赤軸 – リニア 45g
  • F,J:青軸 – クリッキー 55g
  • 親指:緑軸 – クリッキー 80g

そして、これまで使っていたErgo42 towelは以下の通り。

  • メイン:茶軸 – タクタイル 45g
  • クリア軸 – リニア 35g
  • 親指:黒軸 – リニア 55g(ボトムアウト70g)
Ergo42はKaih BOX茶軸を使用。小指はGateronクリア軸で親指は黒軸だ

タクタイル → リニアと変わり、押下圧も45g → 70gとかなり重くなった。これにまだ慣れない。玄人の黒軸の使い方は底打ちまで押し込まず、反応する最低限の深さまで撫でるように高速タイピングするらしい。僕はこれをまだ会得できていない。ついつい底まで打ち込んでしまう。慣れていくのに期待したい。

今回のスイッチの良かった点としては、タイプミスが明らかに減った。全体的に重めにしたことが良かったようだ。特に35gのクリア軸は指を乗せただけで反応してしまうことがあったので、安心して指を置いておける点で今回のスイッチは正解だった。

まだ慣れていないのだが、使い込めば高速タイピングできるというポテンシャルはひしひしと感じている。これが自作キーボードの楽しさの一つだなあ。

今日のぐうの音

無刻印にまだ慣れないとか黒軸にまだ慣れないとかは、それらを選んだ僕の責任。Let’s Splitに非は全くございません。ちょっとまだ使いこなせていない面もあるけれど、見た目は最高だし使い勝手に関してもポテンシャルしか感じていない。

会社にはよく慣れて、テンキーレイヤーも搭載しているErgo42 towel、自宅では訓練も兼ねて(何の?)Let’s Splitという布陣。導入前に思っていたよりも攻守最強だった。

中央にiPad置きたいと思ったあなた!自作キーボードを一緒に楽しみましょう!

  • Let’s Splitのキットを買ったところ:TALP
  • キースイッチを買って組み立てたところ:遊舎工房

2022年9月追記
自作キーボードの活動が「ミニマリストの片付け」というサイト運営様の目に留まり、自作キーボードの記事を寄稿させていただいた。ぜひ併せて読んでいただきたい。

ミニマルな「自作キーボード」を作るに至った話【デスクをすっきりさせるために】-ミニマリストの片付け

理系男子のぐうの音管理人愛用のキーボード

こうやって並べられるくらいキーボードを買い漁るようになるなんて思ってませんでした。

自作キーボードErgo42 towel

最終的にたどり着いた自作キーボード。何もかもが自分の思い通りになって最高です。あなたが今使っているキーボードで、押したことのないキーが一つでもあるなら自作キーボードを検討するべき!

自作キーボードErgo42 towel1ヶ月使用レビュー|左右分離・格子配列には慣れるのか

Ergo42 Towel|遊舎工房

静電容量無接点方式のHHKB Professional BT 墨

市販品では最高のキーボード。

静電容量無接点方式という癖になる打鍵感を持つ魔のキーボード。これを一度使うと普通のキーボードでは満足できない体になってしまいます。

【HHKB Pro BT購入レビュー】高いけど買ってよかった!他のキーボードは使えなくなる打ち心地

タイプライター風のAZIO Retro Classic

こだわりが詰まったキーボードを初めて触ったのがコレ。

僕をキーボード沼に引き込んだ張本人です。本物の木が使われていて見た目だけでなく触った感触もレトロ感満載のキーボード。でかくて重いところも抜群の安定感の秘訣。

打つのが楽しくなるキーボードAzio Retro Classic Bluetoothの魅力をなんとか文字にしてみました

AZIO Bluetooth/USB有線接続 タイプライター式 バックライト付メカニカルキーボード 日本語配列(ウッド)AZIO RETRO CLASSIC BT EDITION MK-RETRO-BT-W-01-JP
AZIO

Apple純正Magic Keyboard

Macで使うなら一度は検討するべきキーボード。iPadには専用のキーボードも純正・サードパーティ問わず多くリリースされていますが、実はiPadで使うなら最もバランスが良いのがこのMagic Keyboardだったりします。

【レビュー】iPadで使うためにMagic keyboard購入!これは最早ラップトップ!?

当ブログでは、大手メーカー勤務の筆者の経験をもとに、レビューしている商品のコストパフォーマンスを5段階評価しています。
筆者としてはコスパが悪いのにあえておすすめしている★2や★1から読んでいただきたい。

大企業会社員 兼 ブロガー
るびこ

ガジェット / ファッション / カメラについて書きます。
2014年東北大学理学部卒業
2016年東北大学大学院理学研究科修了、大手企業に新卒で入社

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