携帯電話の写真性能は近年一気に向上してきて、写真を撮るならスマホで満足という人が増えています。本気でやるなら一眼(あるいはミラーレス)、それ以外はスマホという風潮がありますね。
実際、コンデジの売上はどんどん下がっているそうです。
特にこの1年で撤退の動きが相次いだのがコンパクト型(通称コンデジ)だ。カシオ計算機はコンデジ事業から撤退すると公表。同社のコンデジの売上高はピークだった07年度の約1300億円から10分の1以下にまで激減し、撤退に追い込まれた。ニコンやオリンパスも中国でのコンデジの生産撤退を決めている。
それでも僕は高級コンデジを愛用しています。
関連記事:【カメラ】一眼レフやミラーレスを検討しているあなたへ、高級コンデジという提案 – 理系男子のぐうの音
ところが、最近スマホをiPhone XRに買い替えました。最新のスマホと少し前の高級コンデジ、改めてどちらが優れているのか比較してみます。
撮影に用いたスマホとコンデジと撮影条件
まずはそれぞれの機材や撮影条件から確認していきましょう。
使用したスマホ:iPhone XR
2018年販売開始したAppleのスマホです。iPhone XSの下位モデルに位置づけられますが、脳みそであるCPUや広角カメラのスペックは全く同じです。
iPhone XRカメラのスペック
- 1200万画素
- 絞りf/1.8固定
- 焦点距離 4.25 mm
スペックだけ見れば、割と一般的ですかね。でも今回使ってみて驚いたのが 画像処理能力の高さ!パット見で美しいと思える画作りが素晴らしかった。
使用したコンデジ:Canon PowerShot G7X
いわゆる「高級コンデジ」と呼ばれる、レンズ交換できない中ではハイスペックなコンデジです。
高級コンデジCanon Powershot G7Xのスペック
- 2020万画素
- 絞りF1.8 (W) – F2.8 (T)
- 焦点距離 8.8 – 36.8 mm
画素数なんかより1.0型センサーとか声を大にして言いたいスペックはあるのですが、スマホと同じ条件だとこんな感じです。
画素数はややコンデジが優勢ですか、実は画素数はそこまで重要なスペックではないですけど。
後継機種がでてるのでこちらもどうぞ
撮影条件はどっちもオート
iPhone XRの写真、コンデジの写真どちらも加工なしの画像(撮って出しJPEG)です。画角もiPhone XRに合わせ広角で撮影しています。
iPhone XRは純正のカメラアプリ、コンデジはPモード(プログラムオート)で撮影しました。まあどっちもカメラ任せのオートで撮ったよってこと。
実際にスマホとコンデジで撮影した写真
iPhone XR→コンデジの順番で載せます。基本的にはiPhone XRのほうが彩度マシマシな味付けになっており、目を引きやすい仕上がりです。
晴天・順光での写真の比較:差が出にくい
iPhone XR▼
コンデジ▼
正直好みの問題でしょうか。
スマホの方が彩度が高く印象的な仕上がりになっています。まあ味付けの問題。
写りの優劣をつけるのは難しいです。
それでは次の写真を見てみます。
iPhone XR▼
コンデジ▼
iPhone XRのほうが彩度が高いのは変わらずですが、ダイナミックレンジが広い(階調豊か)なに見えます。
奥の鳥居、コンデジでは若干白飛び気味ですが、iPhone XRはしっかり色が乗っていますね。おそらくスマートHDRが発動したと思われます。
▼Apple公式サイトよりスマートHDRの説明の引用です。
スマートHDR。スマートHDRは、より高速なセンサー、強化されたISP、高度なアルゴリズムといった複数のテクノロジーを活用し、あなたの写真の明部と暗部により精細なディテールをもたらします。
逆光での写真の比較:スマートHDRの強力さが明らかに
iPhone XR▼
コンデジ▼
iPhone XRはまるで加工したあとのようなパリッとコッテリな写真になっています。
iPhone XR▼
コンデジ▼
こちらも同様。iPhone XRのほうが目を引く写真に仕上がっています。iPhone XRのスマートHDRが発動している模様。
屋根の構造もしっかり描写しているだけでなく、空の青さまでしっかり残っているのがiPhone XRの写真ですね。iPhone XRのほうがディスプレイも大きく繊細なので、撮った写真を確認したときの感動は正直言ってiPhone XRのほうが上でした。
ラーメンの写真の比較
こな雪ラーメンという粉チーズがまぶしてある味噌ラーメンです。映えなくてすみません。チーズがまろやかでスープまで飲み干してしまいました。
iPhone XR▼
コンデジ▼
これも露出とホワイトバランスの差だけなんですけれどね。設定を調節すればiPhone XRと同等以上に仕上げることはできます。でもそれを自動でやってくれるのがiPhone XRのすごいところ。
ちなみに背景はコンデジのほうがボケていますね。
夜景の写真の比較:センサーサイズの差が如実に
iPhone XR▼
コンデジ▼
コンデジのほうが光を捉えるセンサーが大きい分、弱い光も敏感にキャッチできます。その能力が遺憾なく発揮できる写真になりました。
iPhone XRの写真は右半分は黒つぶれ、なにがあるのか判別できません。しかし、コンデジは道や植え込みを認識できます。空の階調も豊かに表現できています。ほぼ真っ暗な状況でしたが「ここまで映るのか!」と驚きました。
ちなみに目で見た明るさはiPhone XRのほうが近いです。
僕がコンデジを使う理由
上の写真を見た限りでは「やっぱりスマホで十分じゃん」と思う方もいらっしゃると思います。
僕自身もiPhone XRはここまでやるのか、と驚きました。スマートHDRは便利ですね、目で見たままに鮮やかに写してくれます。
じゃあ、コンデジはもう不要なんでしょうか?いいえ、僕がコンデジを使い続ける理由をご紹介します。
夜景に強い
感度が違うので、夜に写真を撮るならスマホは考えられません。星を撮ったりもできます。
これも同じコンデジで撮影した写真です。
こんなふうに星の軌跡も撮れちゃいます。
コンデジなら星の軌跡の撮影中にスマホをいじったりもできるね!
スマホのインカメラが貧弱
メインカメラの進化は目を見張るものがありました。
しかし、スマホのインカメラはいまだに悲惨です。人によっては一番綺麗に撮れて欲しい自撮りが残念になってしまいますね。
コンデジなら液晶を回転させれば品質を落とさずに撮影が可能です。
様々なパラメータがいじれる
F値やシャッタースピード、ISOなどを任意の値にして撮影することができます。
これをスマホでやろうとすると専用アプリで画面上で一つ一つ設定して、、、とシャッターチャンスを逃してしまいます。
ぼかしたいときだけぼかしたり、シルエット撮影したいときはわざと黒つぶれさせたり(スマートHDRだと自動で黒つぶれ補正しちゃう)も簡単にできます。
要は撮影していて楽しいということです。
光学ズームが使える
あると意外と便利です。すこし離れた位置からでも綺麗に撮影できます。
iPhone XR▼
スマホだとこの距離でも・・・
コンデジ▼
こうなります。ズームしても画質は劣化しません。
ちなみにこのコンデジだと、iPhone XSの望遠レンズの更に2倍相当まで寄れます。
RAWで書き出せる
RAWとは生データのこと。CMOSセンサーがとらえた光を電気信号にしたデータのことです。普通の写真データはさらにその後画像処理エンジンによってJPEGなどに現像されて再生できます。
RAWではスマホやパソコンでは、特殊なソフトを使わないと再生できないんです。その特殊なソフトを使えば、好きなように写真を加工してJPEGに現像することができます。適当な設定でとりあえず撮っておいて、後から見やすいようにできるということですね。
これを活用することで、先程iPhone XRのスマートHDRに惜敗していた写真も、破綻なくここまで加工できます。
コンデジ▼
一応もう一度iPhone XR▼
今日のぐうの音
- カメラ任せならiPhoneのほうがむしろいい
- 撮影者の意思を写真に込めるならコンデジ(あるいは一眼)
というところが本日の結論でしょうか。
撮って出し(加工なし)の写真だと最早iPhone XRのほうが優れていると言っていいことは驚きでした。
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ご指摘ありがとうございました。
思いっきり誤記です、お恥ずかしい。
訂正させていただきました。
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