FUJIFILMユーザーに圧倒的な人気を誇る中望遠レンズXF56mm F1.2 Rを1年以上使ったのでレビューしてみる。
先に結論から言ってしまうと、中望遠が好きなら必ず手にしてほしい1本だ。
- F1.2という目を引くスペックに見合う描写
- そこそこ軽量で携帯性も良い
- この価格でありながら防滴防塵でないのが残念
それでは作例とともにレビューしていく。
理系男子によるコスパ算出
大手メーカー勤務の筆者が、その経験をもとに製品の本当のコストパフォーマンスを評価するコーナー
価格の手頃感 | |
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生活への影響度 | |
長く使えるか | |
スペックに現れない価値 | |
所有する高揚感 |
総合コスパ:
FUJIFILMの定番ポートレイトレンズだけあって、確かな実力。しかし、残念なポイントも。
>同じコスパ評価の製品一覧
「価格の手頃感」、「生活への影響度」が高ければ高いほどコスパも高くなり、逆に「スペックに現れない価値」が高くなるとコスパは低くなります。なお「所有する高揚感」はコスパ算出の対象外。
F1.2のボケをフルサイズ85mmと比較計算
大口径が特徴のXF56mm F1.2 R。まずはF1.2という開放F値について考えてみようと思う。有効口径を計算すると
56/1.2=46.7
これはフルサイズで言う85mm F1.8の有効口径47.2とほぼ同じだ。つまり光を取り込める量が同じで、被写界深度も同程度ということになる。平たく言えばフルサイズの85mm F1.8と同量のボケが得られるということだ。
全身を入れたポートレートでも(背景が充分離れていれば)被写体を立体的に浮かび上がらせるのに十分なレンズである。
しかしながら、さすがにフルサイズの85mm F1.4のボケ量には及ばないということは理解しておきたい。とはいえ中望遠マクロとして代表的な100mm F2.8よりは(同じ構図なら)XF56mm F1.2 Rのほうがボケの表現は楽しめる。
XF56mm F1.2 R外観レビュー
まずはレンズの外観から確認していこう。先に結論を言ってしまうと、デザインとしては満足だが、使い勝手として気になる点がいくつかあった。
金属でひんやりと美しい
FUJIFILMのXFレンズ全般に言えることだが、レンズ鏡筒が金属製で美しい。デザインが共通しているので並べたときも気持ちいい。
金属製なので触ったときのひんやりとした感触もうれしい。絞りリングのあるデザインも相まって、工芸品のように作りが凝っているオールドレンズを使っているような気にさせてくれる。ここに関しては満点をあげたい。
ただ、この価格帯でありながらシーリングが施されておらず防滴防塵に対応していないのが悔やまれる。ちなみにFUJIFILMのレンズ名にWR(Water Resistance)がついていれば防滴防塵である。
絞りリングはやや軽め
FUJIFILM Xシリーズ初期のレンズにありがちなのが絞りリングの緩さ。そしてA(Auto)とF22が隣り合って、特別分離もされていないのでたちが悪い。絞りオートで撮っているつもりがF22になっていた、なんてことが稀にあります。
- 絞りリングを重くする
- Aを絞り開放の隣にする
- Aに回すときだけ重く、もしくは回す距離を長くする
上記のような対策をとってもらえたら、より使い勝手が上がると思う。
フードの加工精度がいまひとつ?
XF56mm F1.2Rで最も残念なポイントはフードだ。FUJIFILMのXFレンズはレンズ本体の質感はどれも素晴らしいのだけれど、フードはどれも樹脂製で安っぽい(その分別売りのフードはどれも最高だと付け加えておく)。その例に漏れずXF56mm F1.2 Rのフードも僕のテンションを著しく下げる。
樹脂製で安っぽいだけならまだ許せる。しかしフードの装着時に不都合があるのだ。バヨネット式だが、滑りが悪い。無理に装着すると溝の部分が少し削れてしまうから困る。
XF56mm F1.2 R作例レビュー
それではここから実際にXF56mm F1.2 Rで撮影した作例を紹介する。購入時の参考にしてほしい。なお、ボディはX-Pro2だ。
明るいレンズなので、中望遠で手ブレ補正はないけれど、暗所でもそこそこ頑張れる
開放で撮りたくなるレンズだが、絞ったときの描写が実は好き
圧縮効果
背景ボケを作ってみる
前ボケだってお手の物
F3.2で玉ボケが角ばってきている
圧縮効果
今日のぐうの音
XF56mm F1.2 Rはそこそこ小型でありながらボケの表現や繊細な描写が素晴らしいレンズだ。総括としては以下。
- レンズ本体も高級感があり、美しい
- 一方でフードや絞りリングなど、不満は残る
- 90mm F2よりも使い勝手がいい、中望遠レンズ
僕は換算85mmが大好きなので迷わず購入した。後悔はなくお気に入りのレンズだ。嬉しい悩みだが、XFレンズには軽くて優秀なレンズが多く出番が少ないのが悲しいところ。